玉川大学 脳科学研究所 研究会で高橋が講演します (9/13)

2018年9月13日(木)・14日(金)の玉川大学 脳科学研究所 社会神経科学共同研究拠点研究会「世界や社会と相互作用して生きるヒトや動物の視覚-生理学、心理物理学、計算論」で高橋が講演します。

http://www.tamagawa.jp/research/brain/news/detail_14537.html

タイトルは「「高次認知」と知覚の理論:認知バイアス、条件文、因果推論」、抄録は以下の通りです。最近出た3本の心理学の論文と、閲読待ちの書籍の1章の内容をまとめて話すことになると思います。

推論や意思決定、プランニングを含むいわゆる「高次認知」の研究は、人間特有と見られる機能が多く、また記号や論理に依存していると考えられたため、長い間、知覚などの他分野の研究とは独立して進められて来た。しかしながら前世紀末から、適応合理性や生態学的合理性といった標語のもと、高次認知もまた、環境の構造(確率分布)を反映し、適応を目的とした機能として位置付け直されてきた。このアプローチは多くの分野で成功を収めた他、確率モデリングの言葉が機械学習など工学と共通していることから、人工知能の開発にも影響を与えてきている。大まかに言えば、認知の捉え方として、演繹から帰納へ、論理から確率へ、というシフトがあり、人間の認知が、環境の不確実性とリソースの有限性を織り込んだ上で適応的なものであることが明らかになった。他方で近年では、言葉や記号の重要性や、論理的な構造を考慮した推論、といった観点が軽視されて来たことに反省が集まりつつある。

本講演では、不確実性を考慮した上で記号や構造を扱うことのできる、 de Finetti の主観確率論理学をリバイバルさせ、条件文に新しいモデルを与える認知心理学の研究を紹介する。「pならばq」という条件文は、ルールや因果関係の表現と伝達、社会的なやりとり(約束や脅迫)など、コミュニケーションに中心的な役割を果たす他、ロボティクスや自然言語処理にとっても重要である。これにより、人間が論理学に従わず不合理であることの証拠の一つとされてきた「欠陥条件文」パターンが説明され、真理値表タスクで頻発していた謎のパターンもまた説明される。また、2事象の共起情報の観察からその間の因果関係を判断する因果帰納において、データを最もよく説明する講演者らのモデルを、確率論理学から導ける。これにより、演繹から帰納まで、様々なタスクを統一的に扱う可能性が開けることを示したい。